3. 深蒸し掛川茶 Vol.1
お茶の評価は時代とともに変わります。
お茶の畑は「山間地」「中山間地(ちゅうさんかんち)」「平坦地」に大別されますが、昭和20年〜40年代は「山間地」のお茶の持つ香りと上品な味わいが評価された時代でした。
弊社の所在地である日坂・東山地区は「中山間地」にあたりますが、「中山間地」とは「山間地」ほど山奥でもなく「平坦地」ほど平らでもない地区ということになりますでしょうか。
この日坂・東山地区は、気候や土質には恵まれているものの、「山間地」に比べて日照時間が長いため、肉厚のしっかりした茶葉が育ってしまい、当時の普通煎茶の蒸し時間では少し苦渋味(にがしぶみ)が感じられ、『二流産地』と言われていました。
そのような状況の中、地元の農家をはじめ掛川、菊川の有志を中心に、葉肉の厚さに合わせて蒸し時間を従来の2〜3倍にすることで、葉に秘められた旨みを引き出す深蒸し製法が確立され、農家の自家用茶として徐々に深蒸し茶の評判が高くなってまいりました。
「昭和54年度全国茶品評会」から正式に新設された「深蒸し煎茶の部」において、55年度、56年度、58年度と地元日坂・東山地区のお茶が日本一を獲得し、一躍『一流の茶産地』として全国にその名がとどろきました。
近年では、掛川市として「全国茶品評会 深蒸し煎茶の部」において、昨年度まで7年連続、部門新設後33回中15回目の『産地賞』を受賞するなど、深蒸し茶の一大産地として広く認知されるようになりました。
弊社は、その深蒸し茶とともに歩んだ掛川茶の中でも、最も品質の高いお茶を作り続けている日坂・東山地区で、農家の皆さんとともに、茶の製造販売に肥培管理から携わらせていただけることを深く感謝するとともに、それこそが先代、先々代が今に残してくれた会社の財産だと自覚し、次世代へつなげていきたいと強く願っております。
2012年2月19日