山英
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山崎英利のお茶語り 〈山英社長のコラム〉

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8. 茶食のすすめ Vol.4

食用茶の共同研究は、東京家政学院短期大学の受託研究制度を利用して進めましたが、スタートは緑茶を直接摂取することで安全性について心配される点を全て確認することでした。当時はまだお医者様の中にも、お茶のカテキン(タンニン)は鉄分と結合して貧血を起こすとか、カルシウムの吸収を阻害する、などとおっしゃる方もいらっしゃいましたので、磯子中央病院、東邦大附属大橋病院のご協力のもと、それらの危険因子と思われるもの全てについて実験を行ない、いずれも安全であることを確認しました。ただその過程において、お茶の摂取に関して2点だけ注意すべき点があることがわかりました。ひとつは空腹時にお茶を食べると胃がムカムカする人がいること、もうひとつはカフェインに敏感な人が就寝前にお茶を食べると寝つきが悪くなる傾向があることです。この2点だけを注意すれば安心してお茶を食べることができる、確認された結果を日本農芸化学会、日本栄養・食糧学会などで発表し、そこから私たちの共同研究は次の段階、発ガンの予防をはじめとするお茶の有効性の研究へと進んでいきました。

食べるお茶の効能については、その後さまざまなメディアが全国規模で取り上げてくださったので、皆様も一度は見聞きされたことがあるかと思いますが、そこで"第一次食べるお茶ブーム"が起こったことは間違いないと思います。当然ですが桑野先生はマスコミ等への対応に追われ、非常に忙しい日々を過ごしていらっしゃいましたが、そんな中、桑野先生が私に次のようなお話をなさいました。「食品は3つの機能に分類されます。五大栄養素の供給としての一次機能、食嗜好・感覚の満足としての二次機能、生体生理の調整に対する効果効能としての三次機能です。食べるお茶の場合、緑茶の持つ栄養素(一次機能)、生体に与える有効性(三次機能)、そして安全性については既に素晴らしい研究結果が得られていますが、残念ながら料理の素材としての利用方法(二次機能)が欠けています。一次機能、三次機能がいくらよいものでもおいしくなかったら食生活の中に定着できません。せっかくのブームが一過性で終わってしまいます。」

この先生のお言葉には、私の本業である嗜好品としてのお茶の製造販売において、自然の力をおいしいお茶にするという常に課せられた使命に通じるものがありました。とにかく一般のご家庭で手軽にできる、お茶を使った簡単クッキングのレシピを考えて皆様に発信しましょうということになりました。さらに話題性を喚起するために超一流の料理人たちにもレシピ開発をお願いしようということになり、弊社の食べるお茶を使い、大阪あべのにある『辻調理師専門学校』の近藤一樹先生には日本料理を、フランス国家最優秀料理人『資生堂パーラー』のジャック・ボリーシェフにはフランス料理を、そして赤坂『璃宮』の周富徳料理長には中華料理を、それぞれ作っていただきました。その際、ジャンルの違う三人の料理人が異口同音におっしゃったのは「食べるお茶はどんな料理にもよく合うが、お茶としての主張をしにくい食材だ。」ということでした。おいしいお茶料理はできる。しかしお茶だからおいしい、もう一度お茶が食べたくなる、そう言っていただくためには何が足りないのか…、何が必要なのか…、このテーマはこの時以来20年間、私が引きずっている大きな課題になっています。

余談ですが、素人の私が和食、洋食、中華の超一流の料理人たちの厨房に入り、調理の様子を拝見しながら試食させていただいたことは、普通ではとても体験できないことであり、それぞれの裏方がこうも違うものかとわかったことは非常によい勉強になりました。

とにかく、よいことはわかっていてもなかなか普及しない茶食健康法を、20年目を迎える今、もう一度自問自答してみたいと思います。皆様には何かお気づきのことがございましたらぜひ教えていただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

2012年8月26日